男性の泌尿器疾患
男性の泌尿器疾患
泌尿器科は、尿管・尿道・膀胱・腎臓といった尿の生成・排尿に関係する臓器や、前立腺・精巣・陰茎といった男性特有の臓器など、尿路とその周辺臓器を対象とする診療科です。扱う病気は、尿道炎・膀胱炎・尿路結石・腎盂腎炎・頻尿・尿失禁・性感染症・前立腺肥大症・神経因性膀胱などの良性疾患から、前立腺がん、膀胱がん、腎細胞がん、精巣腫瘍、陰茎腫瘍などの悪性腫瘍まで広範囲に及びます。
泌尿器科というと少し受診をためらう方もいらっしゃいますが、泌尿器の症状は加齢とともに誰もが経験するもので、恥ずかしいことではありません。当院ではプライバシーに配慮し、患者様との対話を大切にした泌尿器科をめざしております。頻尿、血尿、前立腺、腎臓病、性病など泌尿器で心配なことがあれば、一人で悩まずに、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。
日常的に起こりやすい症状でも、詳細な検査を行うことで重大な病気の早期発見につながることもよくあります。泌尿器に心配なことがあれば、一人で悩まず何でもお気軽にご相談ください。
前立腺肥大症は、前立腺の病気のなかで最も頻度の高い病気です。前立腺が肥大して様々な排尿障害が生じてきます。前立腺は直腸と恥骨の間にあり、尿道を取り囲んでいます。そのため前立腺が肥大すると、尿道を圧迫して排尿に関わる症状が現れます。一般的な成人男性の前立腺は、クルミぐらいの大きさと例えられますが、肥大するとみかんや卵ぐらいの大きさになります。
症状としては、夜中に何度もトイレのために起きたり(夜間頻尿)、排尿までに時間がかかったり(排尿困難)、尿線が細くなります。さらに進行すると尿が全く出なくなります(尿閉)。これまで前立腺が大きくなることによってこうした症状が出現すると考えられてきましたが、近年では生活習慣病と前立腺肥大症の相関も報告されています。診断には症状から病気を疑う国際的評価方法(IPSS)や、残尿や前立腺容積を測定する超音波検査、前立腺がん腫瘍マーカーの測定(採血検査)などがあります。治療は薬物療法が基本で、重度の前立腺肥大症や、薬物療法で改善が乏しい場合に、手術療法が施行されます。
膀胱の収縮活動がコントロールを失い、膀胱に尿が十分にたまっていない段階から、膀胱が勝手に収縮してしまう状態です。頻尿に加え、尿意を我慢しにくい(尿意切迫感)、我慢することができず漏らしてしまう(切迫性尿失禁)などの症状を認めます。日本では1000万人以上の男女が罹患するといわれている頻度の高い病気です。脳や脊髄の病気、前立腺肥大症、膀胱炎、加齢、精神的なストレスなど原因は様々ですが、原因がはっきりしないケースも少なくありません。
診療では、他の病気の可能性も含めて、問診や検査(尿検査、腹部超音波検査など)を行います。生活習慣の見直しで症状の改善が見込めることもある病気ですので、内服治療をメインに行いますが、薬だけに頼らず生活習慣の見直しや指導も積極的に行っていきます。
急性前立腺炎の多くは大腸菌などの細菌が尿道から侵入し、前立腺に感染することで起きますが、血液やリンパ液から細菌が前立腺に侵入して感染する場合もあります。症状としては、発熱や排尿困難、排尿痛や残尿感、頻尿を認めます。急激に悪化した場合、敗血症などを併発する危険性もあるため早期治療が重要です。
慢性前立腺炎は長時間座ったままの姿勢を取り続ける人、働き盛りの20~40代に多いのが特徴です。会陰部の不快感、排尿時排尿後の痛み、射精時射精後の痛み、精液に血が混じるなどの症状が現れます。治療は症状によって異なりますが、症状が改善するまでに数か月かかることや、一旦改善した後にぶり返すこともあります。
尿道炎は細菌感染や尿道粘膜が傷つくことで起こります。クラミジア性尿道炎や淋菌性尿道炎など性感染症によることも多く、排尿時に焼けつくような痛みやかゆみ、不快感があります。尿道から黄色や白色の膿が出て下着を汚したり、尿道口周囲が赤く腫れたり、頻尿などの症状が現れることもあります。尿道炎を放置すると精巣上体炎に進行することがあります。また、尿道狭窄となり、排尿に支障をきたすようになることもあるため、早めの受診が必要です。
腎臓から尿道につながる尿路に結石ができる疾患で、結石のある部位によって腎臓結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石に分けられます。泌尿器科外来で頻度の高い疾患の一つで、20人に1人が一生に一度は罹患し、男性が女性の約3倍多いとされています。
結石の大きさや位置によっては激痛が起こり、発熱や吐き気、嘔吐を伴うこともあります。尿検査、画像検査(超音波検査・レントゲン検査など)で診断がついたら、まず痛みを抑える治療をします。その後、結石の大きさや位置を確認し、治療方針を検討します。小さい結石であれば、多くの場合は自然排石が可能ですが、10ミリ以上の大きな結石や、自然排石が難しいと考えられる場合には、体外衝撃波結石破砕手術(ESWL)やレーザー砕石器などを用いた内視鏡手術が行われます。
検診や他院での尿検査で、尿潜血や尿蛋白を指摘されることがあります。
尿潜血の原因としては、尿路感染症、尿路結石、腫瘍などが考えられますが、特に異常がなくとも認めることも多くあります。
蛋白尿の原因としては、急性腎炎や慢性腎炎などの腎臓に限局した病気と、糖尿病、膠原病、高血圧など全身の病気の一部として腎臓に障害が起きる場合があります。
尿検査で異常を指摘された際は、お気軽にご相談ください。
前立腺がんは泌尿器系のがんの中で、近年最も増加傾向にあります。かなり進行するまで症状が無いケースがほとんどで、そのため検診がとても重要になります。検診でPSA(前立腺特異抗原)という腫瘍マーカーを測定するようになってからは、早期診断も可能になってきました。
早期発見、治療を行えば死亡率は非常に低いがんです。50歳を超えたら年に1度はPSA検診をおすすめします。